人工受精での治療を行う目安としては、フーナーテストの結果が陽性の場合や、精子の数が少ない乏精子症、精子の運動率が悪い精子無力症などの不妊原因がある場合に行われます。また、インポテンツなどの性交障害がある場合や、機能性不妊　（原因不明の不妊症）　により自然妊娠が難しいと考えられる場合なども、人工授精にチャレンジされる方が多いようです。

■人工受精の治療法
基礎体温表や超音波検査などから、排卵確立の高い日を実施日にします。人工受精の実施日に病院へ行って精液を採取します。　（実施日前の５日程度は禁欲です）　採取した精液は、精子の数や奇形率などを検査して洗浄濃縮し、その後、精子の受精能力を高めるために培養します。

その後、選別した精子を子宮内に注入して完了です。人工授精後に、高温期が３週間ほど続けば、妊娠している可能性が非常に高いです。

■人工受精の成功率
人工受精の成功率については、低いと思われるかもしれませんが、全国の平均で１０％前後と言われています。ただ、あくまで成功率ですので、人工受精を実施する病院や、お医者様の熟練度などにより増減してきます。また、人工受精による治療の目安としては、６〜１０回程度チャレンジしても妊娠できない場合には、次のステップ　（体外受精）　に移る場合が多いです。

また、人工受精の費用については、病院や治療内容によって多少増減しますが、１回の人工受精にかかる費用は１〜２万円程度とそんなに高くありません。正確な金額は、治療前にお医者様とお話されて確認してくださいね。

■便利な精液の凍結保存
男性の場合ですと、仕事の都合などで人工受精の実施日に来院できないことがあるかもしれません。そんな時には、精液の凍結保存を利用しましょう。病院で採取した精液を、マイナス196度で冷凍して保存しますので、必要な時に新鮮な精子を使用することができます。

■精子の選別方法
人工受精の成功率を上げるために、運動率の良い元気な精子だけを選んで注入する方法があります。

◆　パーコール法

パーコールという濃度の違う液体を積層します。その液体に精液を入れて遠心分離をかけると、混じっている異物や、死んだ精子などが途中のパーコールの層にひっかかり除去されます。そして、元気の良い成熟した精子が底のほうへ沈みます。この精子は、人工受精に適した精子と言えます。

◆　スイムアップ法

遠心分離などによって精子液を分離し、その精子を培養液に入れます。そうすると、培養液の上のほうに元気の良い精子が泳いで集まってきますので、その精子を人工受精に使い妊娠率を高めます。